2024 年 80 巻 9 号 論文ID: 23-00158
通信用ケーブルを収容するトンネルの点検を効率化するため,デジタルカメラの撮影画像から劣化の大きさ(長さ)を自動計測する画像認識手法を提案する.提案手法は深層学習を用いて画像からケーブル添架鋼材(筋金物)と劣化(露出鉄筋)の領域を検出し,筋金物の検出結果と寸法情報から画素分解能(mm/pixel)を推定する.その結果,推定した画素分解能と露出鉄筋の検出結果から露出鉄筋の実寸長を計測できる.1,700枚の画像で検出性能を評価した結果,評価指標であるF-measureで筋金物は0.92,露出鉄筋は0.84であった.91箇所の露出鉄筋を用いて計測性能を評価した結果,計測値と実測値の相関係数は0.9773となり強い相関関係を確認した.提案手法の計測性能は劣化の規模を把握するためには十分であり,実地の点検に適用可能である.