2024 年 80 巻 9 号 論文ID: 23-00289
滋賀県犬上郡豊郷町にある龍ケ池揚水機場・砂山池揚水機場は,明治末頃から現在まで稼働を続けてきた地下水揚水機場である.本研究では,各種資料の記述をもとに,両揚水機場の土木遺産としての技術的価値について考察した.龍ケ池揚水機場の設計過程や井戸の構造の特徴を初めて明らかにした結果,両揚水機場が地下水確保の不確実性を克服して建設された初めての農業用地下水揚水機場であり,その池の構造は後に広く滋賀県内に普及した「石積造水源井」のオリジナルであると考察でき,両施設は土木遺産として高い技術的価値を有すると評価した.