2025 年 81 巻 1 号 論文ID: 24-00144
近年,居住地からの生活圏を重視するx-minute cityが世界的に注目されている.我が国でもCOVID-19を経て政策的展開が期待される一方,兼ねてより生活サービスを集約するコンパクトシティ政策にも重点的に取り組まれており,これらの概念の両立が重要となるといえる.本研究では政策的展開へ向けた基礎的情報として,東京都市圏において居住地から生活サービス施設までの徒歩での到達時間を算出し,現状の都市機能誘導区域との対応関係を整理した.結果,徒歩圏に必要な施設としてのニーズが高い商業・医療・金融機能には,全地域の施設を対象とすると20分で90%の人が全ての機能に到達可能だが,都市機能誘導区域内の施設のみを対象とすると,全ての機能に到達可能である割合が10%にも満たない都市が存在することが明らかとなった.