1991年より田沢湖の酸性化対策として玉川中和処理施設が稼働しているが,田沢湖のpHは依然として環境基準を下回っており,自立した生態系は機能しない状況にある.そこで本研究ではWET手法を用いて玉川中和処理施設での中和処理前後,中和処理水をpH 6.7,pH 8.5に上げた場合の4段階で水生生物への毒性低減効果を評価した.
その結果,3種類の水生生物全てにおいてpHの上昇に伴う毒性の低減が認められたが,現状の中和処理では水生生物に対する毒性低減効果は不十分であった.またpH変化に伴う毒性物質群の挙動を明らかにするためF,B,Al,As,Znの濃度測定を行った.現状の中和処理では毒性物質群を除去できておらず,pHを上げることで沈殿除去が期待でき,水生生物に対する毒性が低減することを明らかにした.
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