電炉鋼はカーボンニュートラルに資する材料であり,近年,その活用が再注目されている.整備新幹線の建設工事において,橋梁部材での電炉鋼の適用実績はないが,鋼製緩衝工やスノーシェルターあるいは鋼製防音壁などでは,これまで数多くの電炉鋼を適用してきた.ただし,電炉鋼の機械的性質を十分把握しておらず,また統計的な整理も行っていなかった.本報告は,整備新幹線の建設工事で使用した電炉鋼の鋼材検査証明書から,広幅帯鋼,広幅平鋼,H形鋼,山形鋼,溝形鋼および平鋼(Flat Bar)における機械的性質(降伏点,引張強さ,伸び,降伏比)を調査した.また高炉鋼も調査し,電炉鋼との比較を行った.