2025 年 81 巻 14 号 論文ID: 24-14005
GFRP板に鋼板を接着し補強すると,継手耐力が向上し,摩擦接合が適用できるようになることが確認されている.しかし,GFRP板が板厚方向の圧縮力を受け続けると,クリープ特性により,ボルト軸力が経時的に低下し,特に高温下で顕著になることが課題であった.本研究では,クリープ対策として,GFRP板に座金径以上の拡大孔を明け,拡大孔と同径の有孔円形鋼板を挿入することで,軸力低下の抑制を試みるとともに,接着鋼板の薄板化を検討した.ボルト軸力の経時変化を,室温,低温恒温恒湿器による温度制御下で計測し,継手耐力を,高力ボルト摩擦接合継手の引張試験により確認した結果,室温下,高温下の軸力低下は対策前と比べて抑制されること,有孔円形鋼板を導入しても接合部は十分な継手耐力を有することが確かめられた.