2025 年 81 巻 14 号 論文ID: 24-14008
鋼橋における耐震補強は,鋼板を用いた当て板補強が一般的である.この工法はボルト孔による母材の断面欠損,死荷重の増加に伴う補強範囲の拡大,再劣化等の課題を有する.これらの課題を解決するためには,軽量で腐食の懸念がない炭素繊維(以下,CFRP)シートを補強に用いることが有効である.本研究では,鋼トラス橋の部材を対象とし,箱形断面を有する長柱供試体の単調および交番載荷実験を行い,CFRPシートによる耐震補強効果について検討した.その結果,CFRP補強は交番載荷においても耐荷力の向上が期待でき,局部座屈発生後もエネルギー吸収量が急減せずに保持されることが確認された.また,実験結果は耐荷力曲線に対して安全側となり,既往の耐荷力曲線を用いることで,CFRPによる補強効果を設計に取り込める可能性が見出された.