2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15006
本研究では,防潮林を通過する津波などの流れを2次元非線形浅水長波方程式によって解析する際,樹木抵抗力のモデル化に慣性力を考慮することが,減災効果の評価に与える影響を調査した.具体的には,Morison式に基づき抗力と慣性力の双方・抗力項のみを代入した場合の2つの運動方程式を設定し,それぞれによる解析結果を比較することで,水深の低減傾向や波の到達時刻にどのような違いが現れるかを調査した.この時,慣性力・抗力それぞれを特徴づける2つのパラメータについて,複雑な形状を有する樹木モデルに対する3次元数値流れ実験から評価した値を用い,抵抗力をより詳細に表現することも試みた.2次元浅水長波解析の結果から植栽密度が大きい場合,慣性力の有無が減災性能評価結果に影響を与える可能性を確認できた.