2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15013
スペクトルインバージョン(GIT)の結果を用いた疑似地震動の新たな生成法を提案する.具体的には,まず,GITで使用した中小地震記録から,GITで評価した震源特性と,GITで用いた伝播経路特性を取り除くことにより,サイト増幅特性(SAF)を抽出する.その結果,地震記録数分だけ,SAFが得られる.この複数のSAFを,それぞれ用いて疑似地震動を生成することにより,自然の地震動(中小地震記録)が持つフーリエ振幅スペクトルの周波数点間の自然な連続性を反映した地震動が,乱数に頼らずに生成できる.本稿では,K-NETの強震観測点であるKNG003を対象としたケーススタディーにより,提案法を用いて疑似地震動の生成を実際に行った.更に,その生成した疑似地震動を用いて,SAFの評価方法毎に設計震度,速度PSI値を算出し,そのばらつきを評価した.