2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15014
都市部の掘削工事で用いられる掘削土留め工の設計では,土留め壁の変位や応力に加えて,盤ぶくれ等に対する掘削底盤の安定も重要な要素である.根入れ部摩擦の向上を目的として掘削底盤を全面改良する方法は一般的な盤ぶくれ対策工のひとつである.しかし,地盤改良した掘削底盤の挙動解明により,さらなる合理的な盤ぶくれ対策工の実用化を推進することが期待される.そこで本研究では,掘削過程を模擬した土-水連成FEMを用いたシミュレーション解析により,根入れ部摩擦の向上を期待する地盤改良は掘削底面付近に施すことが効果的であると示唆する結果を得た.また,格子状に改良した掘削底盤は改良部と非改良部で挙動が大きく異なり,改良部は全面改良に近く,非改良部は無対策地盤に近い挙動を示した.