2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15028
著者らは近年,繰返し硬軟化挙動を高精度に再現可能な材料モデルを開発するとともに,疲労亀裂先端の弾塑性応答に着目した疲労亀裂進展寿命評価手法を提案し,CT,SENT試験片,十字継手に対する高い適用性を確認している.ただし,これまでの検討では,応力比𝑅が正の検討に留まっていた他,亀裂進展に伴う弾塑性変形履歴や累積損傷の考慮が充分に為されておらず,それらの考慮が予測精度に及ぼす影響に関しても明らかにされていなかった.本研究では,従来手法を拡張し,亀裂発生から破断までの全過程における弾塑性変形履歴および線形累積損傷を考慮可能とする手法提案を行い,正負2種類の応力比𝑅,また異なる2種類の最大荷重下で取得された疲労試験結果に対する検証を行った.その結果,4種の条件下で取得された実験結果を高精度に再現可能であることが確認され,提案手法の妥当性が示された.