2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16003
気候変化に伴う水害の頻発化や大型化が懸念される中,様々な施策を組み合わせた流域治水が進められている.本研究では,一級水系梯川を有する小松市を対象とし,破堤発生時の被害軽減を目的とした氾濫制御施設の設置と,浸水リスクが高い地域からの移転を促す都市計画的施策を想定し,人口減少下にてそれらを実施した際の都市構造変化の推定と,氾濫被害額の算定を行った.氾濫制御施設及び都市計画的施策を単独で実施した場合,氾濫被害額の減少率はそれぞれ22.2%及び24.8%であり,両者を同時に実施した際の減少率は41.2%であった.また,氾濫制御施設設置と,それに伴う浸水深分布の変化を考慮した都市計画的施策を実施するとした場合には,減少率は49.0%まで増加し,複数の治水対策を適切に連携させることの重要性が示唆された.