2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16016
2023年7月豪雨による秋田市中心市街地における氾濫を降雨や河川水位の観測記録,最大の氾濫浸水痕跡位や氾濫浸水深の現地調査,定点カメラ映像の解析などを通して実証している.実証の結果,(1)中心市街地における今次の氾濫は明田地下道から流入した氾濫水の影響を有意に受けている(総降雨量に対する明田地下道総通過流量の割合が大きい),(2)氾濫水は昔みず道であったような低地の通りに沿って卓越的に流れている,(3)今次の内水氾濫規模は秋田市が公表している150mm/h(1000年に1度程度)の想定降雨による内水氾濫規模を超えている,(4)秋田市楢山登町地区における最大氾濫浸水痕跡位は少なからず潮汐の影響を受けていることを明らかにしている.中心市街地における治水観点からの課題例も示している.