2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16017
都市域で洪水氾濫が発生した場合,路上の自動車が浮上し,漂流物となって建物に衝突被害を与えたり,氾濫流を堰上げして浸水域に変化を生じさせる恐れがある.また住民の避難行動に支障を及ぼすことも考えられる.本研究では,都市域での洪水氾濫時の浸水域の評価に自動車が与える影響を考慮した予測手法の構築を目的として,自動車の影響を考慮した非構造格子法による氾濫流モデルと自動車を単一の矩形要素として取り扱う数値モデルを構築した.構築した手法を実市街地での想定氾濫解析に適用した.得られた結果から,氾濫流で流送された自動車要素は相互衝突や建物を表す要素への衝突に影響されながら流動すること,氾濫域の一部では複数の自動車要素が集積塊を形成し,氾濫水の流動を阻害することで浸水深の分布に変化をもたらすこと等が予測された.