2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16018
本研究は,令和2年7月豪雨時の球磨川流域を対象に,降雨流出・洪水氾濫解析を実施し,降雨流出,洪水流下と氾濫現象,支川流域の水収支の把握を行ったものである.本研究から,(1)支川流域の水収支が把握され,(2)球磨川本川には,川辺川を含む支川流域から本川流量と同程度の流入があったこと,(3)被害が甚大であった人吉~渡区間では,支川流域から本川流量の16%程度の1,300m3/sの流量が流入したこと,(4)今回の降雨パターンは,一武~人吉水位観測所の支川と本川の流量ピーク発生時刻を概ね一致させるパターンであったこと,(5)被害軽減には,治水施設により流域からの流出流量の低下あるいはピークの発生時刻を遅らせ人吉水位観測所での流量を低減させる必要があること,などが確認された.