2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16077
本論文は米代川流域における高標高積雪深データとアメダスデータを分析し,数値モデル以外の方法による融雪出水予測手法を提案した.アメダス観測による積雪深,降雨量,気温データに閾値を設けることによって危険度の高い融雪出水を予測した.この予測手法を2022年データにおいて検証し,実用性を示した.アメダス地点の消雪後の融雪出水に対して,高標高の積雪深観測の有効性を示した.米代川流域の場合,高標高において約30cm以上/3日の急激な積雪深低下,気温約10℃以上,日5mm程度の降雨の条件によって危険度の高い融雪出水の発生を示した.この成果は,数値モデルによる洪水予測システムの未整備な自治体において,融雪出水時の防災情報や水防体制に活用できる手段であり,高標高積雪観測の重要性を示した.