2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16097
気候変動や厳しい財政状況等により,ダム管理の現場では既存ダムの有効活用や管理の効率化が求められている.これに対し本研究は,吉野川水系銅山川の3つのダムを対象として,深層強化学習の手法を用いて低水管理において適切な放流量を予測できるAIモデルを構築し,その適用性を検討した.深層強化学習の手法は,既往研究で適応事例が多いDeep Q-Network(DQN)よりも,ダムの放流量予測への適用性が高いと考えられるtwin delayed deep deterministic policy gradient(TD3)を適用した.その結果,運用ルールに従って操作を実施した場合と比較して,渇水調整日数をほぼ増加させることなく,発電量を増大させることができる操作を予測可能であり,ダムの流水管理を支援する手法として有効であることが確認できた.