2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16110
本研究では,豪雨水害時に発生する洪水流による車両漂流事故に着目し,屋外開水路において実際の小型車両を用いた車両漂流実験を行った.勾配1/100,水路幅2mの開水路に,上流端から16mの位置からアスファルト舗装を施し,その上に上流向きに車両を設置した.車両のハンドブレーキを解除した2ケースとブレーキを掛けた1ケースを行い,段階的に流量を増やし,車両漂流発生時の流況を計測した.その結果,ハンドブレーキを解除した2ケースでは車両漂流が発生し,ブレーキを掛けた1ケースでは最大流量を流しても車両は動かず,ブレーキの有無が漂流発生に大きく寄与していることが示唆された.また,既往の模型実験結果と比べ,車両漂流時の水深と流速は,やや小さくなっており,より穏やかな流況でも流される危険性があることが示された.