2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16114
近年,豪雨の強度増加や長期化により,堤内地で噴砂が発生する被災事例が増加しているが,地盤損傷が進展し,噴砂に至る過程やそのメカニズムについて未だ解明されていない点が多い.そこで,本論文では,2016~2018年,2022年の出水により噴砂と陥没が繰り返し発生した宮崎県北川の開削調査で確認された地盤内変状の過程を観察するために模型実験を実施し,噴砂挙動に影響を及ぼす地盤損傷の進展及びそのメカニズムの解明を試みた.その結果,現地で見られた砂溜りや砂脈,難透水層の崩落による地表面の陥没などが確認された.また,十分に締固められた地盤であれば堤内地における1か所の噴砂が基礎地盤全体に損傷を与えない可能性が示唆され,実堤防における噴砂及び変状の評価方法についても検討した.