土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(水工学)論文
地球温暖化に対する河道内樹木伐採の適応効果と緩和効果の定量的評価
金子 恭也池本 敦哉柳原 駿太風間 聡
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2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16117

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抄録

 日本全国の1級水系を対象に,河道内樹木の伐採による年期待被害額の軽減率(適応)とCO2削減量(緩和)を定量的に評価した.樹木伐採の緩和効果として,樹木の伐採地点から発電施設までの輸送にかかるCO2排出量を含めたCO2削減量を算出した.樹木伐採による洪水被害額軽減率は,常願寺川で2.1%,黒部川で0.9%である.このことから,急流河川の下流区間の伐採が効率的であることが理解された.伐採区分によるCO2削減量は,上流で564×103t-CO2,中流で621×103t-CO2,下流で618×103t-CO2である.これらから,上流区分における樹木伐採はCO2削減効率が悪いことが理解された.河道内樹木の伐採による適応・緩和ともに効果の高い水系は,十勝川,天塩川,木曽川水系であった.

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