2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16119
本研究では分布型流出モデルを構築し,各湾灘の汚濁負荷特性を解析した.また,各湾灘に流入する負荷量を簡便に算定するための手法として,モデルの計算結果から湾灘ごとのL-Q式を提案した.構築したモデルは一級河川の流量Qと負荷量Lを良好に再現した.各湾灘に流入する負荷量を算定した結果,平水時に比べて出水時負荷が卓越していた.また,年度ごとのばらつきが大きく,面源負荷算定の重要性が示唆された.湾灘別L-Q式(L=aQb,aおよびb:係数)を作成した結果,平水時は希釈効果が大きく表れ,b<1となった.出水時のbは,懸濁態成分が多いCOD・TPでは平均で1.43,1.35と大きく1を上回った.L-Q式に一級河川の観測流量から求めた比流量を代入したところ,湾灘に流入する負荷量を良好な精度で推定可能であった.