2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16120
本研究は,流域における水質を利用して,化学成分から地質の風化度によるリスクを定量化,指標化することを目標として取り組まれたものである.近年に豪雨によるマスムーブメントの頻発した日本列島各地の花崗岩類地域を対象に基底流の化学組成や成分を対象に斜面崩壊率との関係で比較検討することでリスクの導出を試みた.研究対象に設定した領域は,先行研究も含む8つの花崗岩類分布エリアであり,ここに含まれる64流域でデータ比較した.主な結果として,花崗岩類の形成時代に応じて化学成分の特徴が分かれることが明らかにされた.白亜紀前期ではMg, Ca, Sr,白亜紀後期とジュラ紀中期・前期ではFeの流出量と斜面崩壊率の強い相関が認められ,時代に応じて風化の関与する化学反応が異なる結果を得た.