2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16135
降水量と流量の間には,降雨パターンに依存した気象学的プロセスと降雨流出プロセスがあり,治水計画を論じる上で重要な関係がある.総合確率法は,降水量と流量の関係を考慮して,ピーク流量の確率評価を可能とする手法である.本研究では,多数のアンサンブルデータに対し,極値理論に基づいた条件確率を用いることにより,降水量と流量の極値の従属の度合いを求め,その副作用として確率流量も得られる.そのため,多数のアンサンブルデータを活用すれば,手間のかかる総合確率法を用いずとも,気候変動の影響の簡便な評価が可能となる.これらを可能とする極値理論を示すとともに,具体例を用いて適用法を提示する.