2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16156
一つの流域で多数の土石流が生起するような災害を対象にした気候変動影響評価手法を提案する.本研究では,まず西日本豪雨の情報で学習させた,降雨と地形データを説明変数とした土砂生産量を予測する順序ロジスティック回帰モデルと,当モデルからの土砂生産量の確率論的予測,土石流の流下モデルをそれぞれ組み合わせることで,降雨と地形条件から土石流の被害領域を確率的に予測する手法を構築した.次に,この手法に気候変動の影響を踏まえた現在・将来の降雨条件を入力することで,それぞれの条件下における土石流の氾濫域や堆積分布を確率的に評価した.上記の方法により,流動深さが閾値以上となる確率や,堆積厚さが閾値以上となる確率等,定量的な指標の将来変化の評価方法を提案した.