2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16157
沿岸部低平地流域では大雨による内水はん濫や河川洪水に加え,高潮による浸水リスクも抱えている.そのため台風による洪水時には同時生起しうる高潮現象による浸水リスクの高まりが懸念される.地球温暖化に伴う台風の強大化に伴い,大雨や洪水,高潮の変容が指摘されており,将来気候下において台風に伴う洪水・内水・高潮の複合水災害を評価する必要がある.本研究では擬似温暖化気象シミュレーションにより,既往台風の将来気候下での変化を推定し,得られた気象場を用いて高潮解析,外水・内水の一体解析を行った.帷子川を対象とした分析では,適用する全球気候モデルによって降水量の増加にばらつきがみられたものの高潮は増加傾向にあった.その潮位偏差が干満差との重なることにより河道水位も変化した.一方で副振動と考えられる高潮偏差の変動がみられ,高潮の地域特性に留意する必要性がある.