2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16191
地表面近傍の2次元的な風速場を特定する手法として熱画像風速測定法がある.本手法は熱赤外線カメラを使用して地表面温度を観測し,乱流熱交換に起因する温度変動を抽出,その空間パターンの移流速度ベクトルから地表面近傍の風速を推定するものである.本研究では3次元的に複雑な表面幾何に沿って流れる風の分布計測のため富士山で観測を行った.本観測対象は従来の観測スケールよりも数オーダー大きい.風に対応した表面温度変動抽出のための時間フィルタ―幅の最適化を図り,それが撮像の空間解像度に比例して大きくなることが示された.地形の起伏に沿った表面温度変化パターンの追跡のため,2次元熱画像をレイトレーシングにより富士山の3Dモデルに投影して画像相関解析をかける手法を提案し,複雑面上を推移する風の分布を推定した.