2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16194
都市の幾何分布を反映した気象シミュレーションにおいて,都市キャノピーモデルにおける顕熱輸送モデリングの違いが海風前線に及ぼす影響を評価した.顕熱輸送モデルの変更,及び熱輸送モデルにおけるオアシス効果の有無を変えた計4ケースの計算を,関東領域における海風前線日を対象に行った.その結果,オアシス効果の有無に関わらず,都市キャノピー全体の粗度を考慮して顕熱フラックスを算出するTop-down法では,陸域-海域間の気圧傾度力が強く働くにも関わらず,東京都区部での海風の遅延が確認された.これは粗度の増加に伴う摩擦速度の増大,それにより水平方向の運動量が鉛直混合に変換された結果である.都市幾何を適切に反映し,それらをモデリングに反映することの重要性が確認された.