2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16207
魚道に単一魚種を放流して遡上率を算出し,適切な魚道規格を求めた研究は多数存在する.ところが,現地魚道では複数魚種が混在した状態で遡上に挑んでいる.本研究では階段式魚道内でアユ,オイカワ,ドジョウが単一または混在魚種状態での遡上実験を行った.その結果,単一魚種では各魚種が好む流速場で魚群を形成し,遡上に挑む.混在魚種状態ではアユは低流速域に移動し,オイカワ,ドジョウはアユの魚群から離れた領域に押し出される.オイカワの一部は切欠きからの高速落下流にしばしば接触することおよびアユから忌避のため,遡上率が向上する.アユ,ドジョウは他魚種の存在に注意を払い,遡上に挑まない.