2025 年 81 巻 2 号 論文ID: 24-00122
交通インフラの整備が経済成長に与えた影響を分析する際,Two-way fixed effects (TWFE)モデルが用いられることが多い.しかしながら近年,処置のタイミングが複数存在し,かつ処置効果に異質性が存在する場合,TWFEモデルの推定値はバイアスを持つことが明らかになりつつある.本研究では,日本の新幹線と高速道路整備が市区町村人口に与えた効果について,このような状況下でもバイアスなく処置効果を推定可能なStaggered difference in differences (DID)やSynthetic control method (SCM)により推定した.その結果,高速道路・新幹線ともに人口に与えた処置効果は時代とともに弱まりつつあるが,前者は近年でも正であることが示された.