2025 年 81 巻 3 号 論文ID: 24-00070
本研究は,電波伝搬環境を通信機器によらず,コンクリート自体の物性によって能動的に制御することを目指し,種々のコンクリートの電波透過性とその影響因子について検討を行い,電波透過性を向上させる条件を見出したものである.まず,コンクリート中の電磁波伝搬の理論式およびコンクリート中の水分形態を整理し,水分が電波透過性に与える影響を考察した.考察に基づき,内部水分状態を制御した板状試験体の電波透過試験を行った.その結果,低水粉体比によって蒸発性水分を低減するだけでは電波透過性はほとんど向上しないが,水粉体比の低減に加え,セメント硬化体に代えてジオポリマーを用い,蒸発性水分と非蒸発性水分を同時に低減することで,優れた電波透過性を発揮することが確認できた.