2025 年 81 巻 3 号 論文ID: 24-00235
本研究では,凍結防止剤が漏水によって供給される構造物を想定して,試験体の一部に定期的に塩水散布した鉄筋コンクリート製の実大模擬試験体の鋼材腐食を調査した.腐食調査の結果より,塩水散布範囲であっても腐食状況は均一ではないことや,塩水散布範囲外においても鋼材腐食を確認した.鋼材の局部的な腐食箇所ではpH 2~3まで低下している箇所があり,すきま腐食が生じていると考えられた.一方,はつり直後にGreen Rustを複数箇所で確認しており,コンクリート中の鋼材は,本来であれば腐食は生じにくい湿潤環境にあると推察される.鋼材腐食が不均一である理由として,既往研究で指摘されている鋼材の素地と黒皮とのすきま構造だけでなく,鋼材とコンクリートとの間のブリーディングによるすきま構造が影響していると考えられる.