2025 年 81 巻 4 号 論文ID: 24-00165
昨今の鉄道利用の変化は,個人ごとに異質であると考えられる.加えて,ビッグデータによって,既存の公的統計では捉えきれていなかった知見を得ることが期待されている.そこで,COVID-19の流行による人々の鉄道利用の変化について,複数時点での改札通過データから,個人ごとの利用頻度の経年的な変化を分類し,その変化は多様で異質なものであることを明らかにすることを,本研究の目的とする.
弾性図の概念を用いて分析を行い,あまり変化しなかった,変化した中でも元に戻った,あるいは戻らなかったという個人ごとの利用頻度の経年的な変化のパターンを,その総量とともに明らかにした.これが交通行動の多様性や異質性であり,利用者数の平均的な変化だけでは分からない部分を可視化したことが,本研究の意義である.