抄録
本研究は,塩害で劣化した鉄筋コンクリートを断面修復工法によって補修した後に生ずる鉄筋腐食のメカニズムを明らかにするために実施した.実験では,道路橋の鉄筋コンクリート床版の一部を模擬した試験体を作製し,断面修復の深さ・範囲,表面被覆材の有無などを変化させた補修を行い,その試験体を海洋環境下に暴露した.暴露開始後1年,3年,10年に鉄筋を取り出して腐食状況を調査した.その結果,表面被覆材が健全であればコンクリート中の鉄筋の腐食速度は経年に伴い遅くなることが明らかになった.また,部分断面修復を行った場合には,母材コンクリートと断面修復部の境界面±10mmの近傍の鉄筋がマクロセル腐食によって,他の部位より腐食が進行することを実験的に確認するとともに,補修境界面近傍での鉄筋腐食速度を提示した.