セメントペーストの変形機構を把握することを目的として,拘束圧と含水率を変化させて三軸試験を実施した.検討の結果,ある程度以上の拘束圧が作用すると,ひずみ10%まで変形しても応力は低下しなくなり,またマクロな損傷が確認されなくなった.応力低下やマクロな損傷が確認されなくなる拘束圧は含水率によって変化した.また段階的に荷重を増加させたクリープ試験において,差応力-ひずみ速度の両対数グラフの傾きは3前後となり,転位の影響を示唆する結果が得られた.スクロース水溶液で飽和し,水酸化カルシウムの析出を抑制した供試体は,より脆性的な挙動をピーク応力後に示した.以上の結果より,セメントペーストの挙動には転位や双晶,圧力溶解が影響している可能性を指摘した.