2018 年 74 巻 2 号 p. 80-87
RC構造物での中性化による鉄筋腐食の進行は,雨掛かりなどによる水分供給の有無に影響を受けると考えられる.本研究では,実構造物を対象として221測点の中性化深さ,かぶりおよび鉄筋の腐食度を調査し,それらの結果に基づいて雨掛かりの有無が鉄筋腐食の進行とかぶりの剥離・剥落に及ぼす影響を整理した.また,実構造物より鉄筋を採取,分析して雨掛かりの有無による中性化での鉄筋腐食の違いとコンクリートの含水率分布を調査した.その結果,かぶりの剥離・剥落に至るまでの過程で,雨掛かりの有無が大きく影響することが示唆され,雨掛かりがある場合では水分供給による乾湿繰り返しの影響を受け,含水率の変動がコンクリート表面のほうが大きくなる.そのことで,鉄筋の腐食速度がコンクリート表面のほうが大きくなることが考えられた.