土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
74 巻, 2 号
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和文論文
  • 前原 聡, 伊代田 岳史
    2018 年74 巻2 号 p. 80-87
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     RC構造物での中性化による鉄筋腐食の進行は,雨掛かりなどによる水分供給の有無に影響を受けると考えられる.本研究では,実構造物を対象として221測点の中性化深さ,かぶりおよび鉄筋の腐食度を調査し,それらの結果に基づいて雨掛かりの有無が鉄筋腐食の進行とかぶりの剥離・剥落に及ぼす影響を整理した.また,実構造物より鉄筋を採取,分析して雨掛かりの有無による中性化での鉄筋腐食の違いとコンクリートの含水率分布を調査した.その結果,かぶりの剥離・剥落に至るまでの過程で,雨掛かりの有無が大きく影響することが示唆され,雨掛かりがある場合では水分供給による乾湿繰り返しの影響を受け,含水率の変動がコンクリート表面のほうが大きくなる.そのことで,鉄筋の腐食速度がコンクリート表面のほうが大きくなることが考えられた.
  • 染谷 望, 加藤 佳孝, 江口 康平
    2018 年74 巻2 号 p. 88-104
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,かぶりの諸特性(厚さ,飽和度,塩化物イオン濃度,セメント種類,水粉体比,鋼材界面に存在する液相)が,電気化学的測定結果に及ぼす影響を定量的に把握することを目的とした.Membrane potentialの影響によって,コンクリート版の上面から測定した自然電位と,鉄筋近傍で測定した自然電位とは異なる結果が得られた.インピーダンススペクトルの実験結果は,かぶりの諸特性の影響を受けることが分かった.低周波数のインピーダンスは鋼材腐食の過程に関連しており,高周波数のインピーダンスはかぶりの諸特性に影響を受けていると考えられる.これらの結果を基に,鉄筋コンクリートを対象とした電気的等価回路を提案し,コンクリート工学で一般的に用いられるRandles型の電気的等価回路との分析結果の違いを考察した.
  • 小松 怜史, 田中 洋人, 椿 龍哉, 谷川 光, 高橋 貴蔵
    2018 年74 巻2 号 p. 105-118
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/20
    ジャーナル フリー
     弾性まくらぎ直結軌道のコンクリート道床の収縮による変形挙動,ひび割れ進展挙動を解明するため,実物大のコンクリート道床部材を作製し,数値シミュレーションを活用して分析した.結果,まくらぎ下のコンクリート道床の厚さが薄い場合,まくらぎの隅角部からハの字に,まくらぎの幅方向直下から鉛直に,それぞれ収縮ひび割れが生じた.まくらぎ下のコンクリート道床の厚さが厚い場合には,収縮ひび割れが発生しにくくなることが分かった.体積表面積比が大きくなり収縮の進行速度がゆるやかになったこと,コンクリート道床の下部の構造物による拘束の影響が小さくなったことが要因と考えられた.また,欠損率10%のひび割れ誘導目地をコンクリート道床のまくらぎ隅角部直下に設けると,発生する収縮ひび割れを鉛直に誘導できることも分かった.
  • 石川 靖晃, 田辺 忠顕
    2018 年74 巻2 号 p. 119-138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー
     従来コンクリートの化学膨張によるひび割れ問題に対しては初期ひずみ法が一般的であった.この方法の適用に問題を認めつつも代わりの方法が提案されていないためである.辻博士の仕事量一定則はこの種の問題に適合することは知られているが一般的理論は提示されていない.本論文は仕事量一定則の理論的な瑕疵を修正した総エネルギー一定則を提唱しそれに基づき化学膨張現象に対する統一的解析手法を提案する.ASRや膨張コンクリートに関する既往の実験に対して検討した結果総エネルギー一定則は初期ひずみ法に比べ良好な解を与えることが示された.本手法はMgOによる損傷を合理的に説明できることも示された.最後にコンクリートの化学膨張による損傷などを基準などで統一的に取り扱うための指標として化学膨張エネルギーデータの集積を提案した.
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