2020 年 76 巻 2 号 p. 119-129
補修用接着剤の接着面における材料特性の変化は,接着耐久性評価において重要である.しかし,これまで接着剤表面部分の強度変化を直接評価することが難しかった.そこで,表面・界面切削分析装置を用い,補修用接着剤で実績の多いエポキシ樹脂の劣化に伴う表面の強度変化に関する分析を行った.本装置を用いることで,硬化剤種別により吸水と乾燥による影響の受け方が変わることが分かった.また,アルカリ溶液による促進劣化試験では,時間経過に伴う劣化形態の変化が明らかとなった.さらに,劣化はアルカリによるものが支配的ではあるが,試験初期においては水の影響も受けやすいことが確認できた.本装置を用いた接着剤表面の微小領域における機械的特性の評価は,劣化の進行を定量化でき,接着剤の耐久性の評価に役立つものと考える.