2020 年 76 巻 3 号 p. 229-238
筆者らは,耐震補強工事の生産性向上を目的とし,新しい耐震補強工法を開発している.開発した工法は,プレキャストパネルを分割された補強鋼板とボルトを用いて既設柱の周囲に配置し,隙間に高強度繊維補強モルタルを充填するものである.工法を構成する高強度繊維補強モルタルは,橋梁等での使用を想定した指針が整備されているが,耐震補強工事に用いた事例は少なく,補強材として用いた場合の耐荷特性や変形性能を明らかとする必要がある.本研究では,本工法の変形性能を明らかとするため,補強鋼板量,高強度繊維補強モルタル量および断面寸法を変数とした補強RC柱による正負交番載荷試験を行った.その結果,高強度繊維補強モルタルの増厚量の増加に伴い,変形性能が向上することを確認し,本工法を用いた補強 RC 柱の変形性能算定式を構築した.