2021 年 77 巻 4 号 p. 247-266
プレキャスト部材同士の接合の合理化を目的とし,重ね継手の周囲をスパイラル鉄筋で拘束した拘束型重ね継手を提案し,接合する主鉄筋径がD13,D16,D19,D22,D25の5タイプの継手について,継手単体の引張試験を行った.その結果,主鉄筋の重ね長さをD13タイプは主鉄筋径の8倍,その他のタイプは9倍とし,スパイラル鉄筋の補強筋比をいずれも6.2%とすることで,SD345の鉄筋継手としての性能を発揮することがわかった.そして,最小径と最大径の継手を用いて接合した部材の構造実験(曲げ,せん断およびじん性)を行った結果,接合部がない部材と同等の構造性能を有することがわかった.また,この継手と既往のカプラー式継手の比較では,プレキャスト部材の材料費で約20%,施工費で約10%の改善が図れる可能性があることがわかった.