2022 年 78 巻 1 号 p. 72-89
プレキャスト工法の適用範囲の拡大を目的とし,プレテンション部材から延びたPC鋼材を再度緊張し接続部材にプレストレスを導入して一体化を図る「ハイブリッドPC(HPC)構造」の開発を進めている.本研究では,コンクリート強度とPC鋼材のエポキシ樹脂被覆の有無をパラメータとした定着実験と再緊張実験を実施し,プレストレス導入時および再緊張時のPC鋼材の付着機構について考察した.さらに,実験で得られた付着応力-すべり量関係を非線形FEM解析に導入し,PC鋼材の挙動の再現を試みた.検討の結果,プレストレス導入時と再緊張時で,またPC鋼材のエポキシ被覆の有無で付着特性が異なり,HPC構造には高強度のコンクリートが適していることが分かった.さらに,FEM解析にてPC鋼材の付着挙動を一定の精度で再現できた.