抄録
本研究では、千里浜海岸の汀線の基礎的な変動特性について、汀線位置の現地観測と波浪数値モデルによる波浪場の計算結果などに基づいて検討し、漂砂特性について新たな知見を得た。千里浜海岸の入射波の波向は年間を通じ、北北西と北西が卓越し、冬期に高波浪が出現していた。千里浜海岸における汀線位置の時空間変化は、滝崎の回折に伴う波の遮蔽域に関連して、変動特性が異なる。千里浜海岸での漂砂方向は遮蔽域よりも南側の領域では南方向と判明した。波の遮蔽域外の調査点での漂砂は南方向であり、砂浜は浸食傾向にある。一方、羽咋側以北の調査点では砂浜は堆積傾向にある。