抄録
近年,沿岸域において人工海浜を造成することが多く検討されているが,海砂の供給が困難になりつつある.一方で,港湾地域における航路浚渫土,特に粘土・シルト系の浚渫土は,新たな利用方法が求められている.粘土・シルト系の浚渫土を利用する場合の改良技術の一例として,浚渫土にセメントと含水比低下材を混合して砂礫程度の粒径の土に改良する技術が挙げられる.この方法で改良された浚渫土(以降,造粒固化土と呼ぶ)は一定の強度を持つ粒状体を成し,軽量で透水性が高い.このため,造粒固化土を人工海浜に適用した場合,長期間の圧密や覆砂の潜り込みの問題を回避でき,波浪に対する表層材の安定性も高いと考えられる.そこで本研究では,波浪作用時の海浜の挙動に関する遠心模型実験を実施し,造粒固化土の人工海浜材への適用性を検討した.