抄録
本研究では,まず,東京湾に来襲した台風0709号による高潮を対象に大気-海洋-波浪結合モデルの精度検証を行い,これによって東京湾の高潮の高精度計算が可能となる一方で,経験的台風モデルでは精度的に不十分であることを示した.ついで,台風渦位ボーガスと結合モデルを用いて可能最大級台風50ケースによる東京湾の潮位偏差の最大値分布を予測した.その結果,現在気候の下であっても東京湾台風による高潮(潮位偏差2.3m)を超える潮位偏差3.3mの高潮が湾最奥部で発生し,東京湾台風による潮位偏差2.3mを超える継続時間が54分に及ぶことを明らかにした.