抄録
東日本大震災の被災地に膨大に堆積する津波堆積ヘドロの処理が緊急の課題となっている.一方で,津波堤防等の新設する土構造物に必要な良質の土材料も膨大に必要となっている.この津波堆積ヘドロが良質な土材料として活用することができれば,震災復興の大きな貢献を果たすことができる.
本稿では,室内試験および現地実証試験によって,石炭灰造粒物の持つ物理特性(吸水効果と砂質土への物性改善効果)と化学特性(悪臭物質の抑制効果等)を活用して,津波堆積ヘドロを長期間仮置した後でも利用可能な第2種改良土相当の強度を持つ土材料に改質し,改良土の悪臭を抑制できる可能性を示した.また,広く農地にある津波堆積ヘドロに散布することで,細菌繁殖抑制の効果があることを示した.