2012 年 68 巻 2 号 p. I_1115-I_1120
大阪湾奥部では依然として富栄養状態が改善されず,水質・底質の悪化,底層の貧酸素化などが問題となっている.一方,淡路島東岸では貧栄養状態が生じており,栄養塩の偏在という新たな問題が起こっている.貧栄養状態の典型的な現象として「のり」の色落ちが挙げられる.兵庫県下では,このような栄養塩の偏在を緩和すべく「海底耕耘」が試行されている.本調査研究では,兵庫県姫路市家島町地先の水深35mの海域における海底耕耘時に現地調査を行い,海中の溶存態窒素濃度の上昇,底質中に埋在する休眠期細胞並びにシストの再懸濁を確認した.海底耕耘が海中の栄養塩を高め,偏在を緩和する手法の一つとして有効であることを明らかにした.