抄録
鹿児島湾は九州南部に位置し, 湾奥(姶良カルデラ), 湾央(阿多カルデラ)および湾口で構成されている.湾口と湾央は水深100mの水道で結ばれ, 湾奥部は西桜島水道と呼ばれる水深40mの狭い水道でのみ接続されていて、すり鉢状となっているため, 非常に閉鎖的な海域となっている.湾内で盛んに行われている養殖業や河川から供給される生活排水等による排水に含まれるリンの影響下による富栄養化や, 近年ではDOが悪化傾向にあることが報告されている.本研究では鹿児島湾全域で採取した海底表層堆積物試料について分析を行い, 底質汚濁の化学的指標の一つである硫化物含量と有機物含量および粒度組成の分析結果から鹿児島湾内の海底表層堆積物の特性を明らかにする.