2012 年 68 巻 2 号 p. I_120-I_125
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波によって,沿岸に広く分布していた防潮林のほとんどは根こそぎ流された.特に,宮城県仙台市内沿岸では幅500mにも亘って植林された松の木のほとんどが流され,内陸方向5kmにも亘って散乱した.本研究では,津波直後に撮影された航空写真等を手掛かりに,陸上に散乱した松の木をGIS解析により読み取り,防潮林の流失特性,植生のシェルター効果,そして津波の遡上との関係について明らかにしている.総数21,054本に達する流木のほとんどは,海岸線から1km~3kmに分布している.松の木のシェルター効果によって,その背後の家屋が倒壊を逃れていると判断されるようなケースがいくつか見出されている.