抄録
八代海では,Chattonella antiqua赤潮による漁業被害額が昭和63年以降100億円を超えており,C.antiqua赤潮は水産業にとって難題となっている.本研究では,C.antiquaの増殖と水質環境要因の関係を明らかにするためにCCAを用いた.CCAの結果,I軸の固有値は平成18~19年,St.1~9のそれぞれで0.081~0.209,0.072~0.237の範囲であった.C.antiquaの増殖に関与する水質環境要因として,成層強度,底層の酸素飽和度,水温,DIN/SiO2-Si及びDIN/PO4-Pが抽出され,これら要因が影響する強さは発生海域で異なることが明らかとなった.CCAによる要因抽出手法は,今後,HSIモデル等による赤潮発生予測手法を開発するに際して,有効に活用できるものと考えられる.