抄録
網走湖における塩水遡上流入量は潮位と湖水位の水位差に密接に関係しているが,それ以外の要因として風の影響が考えられる.本研究は塩水遡上流入量に及ぼす風の影響を評価するため,長期観測データの統計解析により塩水遡上流入量と水位差,風速との相関分析を行い,風向・風速別にその相関を明らかにした.また,多変量解析手法の一つである主成分分析を適用し,各データ個体の主成分得点を指標として塩水遡上流入量と相関の強い個体を抽出して,観測データを分類した.主成分分析により得られた水位差,風の影響を強く受けるデータを対象に重回帰分析した結果,風速を説明変数に加えることによって既往の水位差だけの単回帰式より推定精度を向上させることができた.