2013 年 69 巻 2 号 p. I_1036-I_1041
砂粒子の間隙に粘土が含まれることによる粘着力の効果を導入した漂砂計算手法を提案するとともに,それを組み込んだ波と地形変化の相互作用を解析できる数値計算モデルを構築し,浅場の地形変化現象への適用を通じてモデルの妥当性の検証と粘着力の効果の感度分析を行った.その結果,砂粒子の間隙に粘土があることによる効果は限界Shields数を大きくするだけでは表せず,粘着力の効果を適切にモデル化することの重要性を示した.また,粘土の含有率,含水比,粘着抵抗力の増加とともに,限界Shields数は増加し,掃流砂量は減少することから,浅場の地形変化が小さくなる一方で,地形変化の傾向は影響を受けないことを明らかにした.したがって,砂粒子の間隙に粘土を含ませることで,地形変化の傾向に影響を与えることなく地形変化が抑えられる可能性を示唆した.